EV時代のエネルギー王者とは?
1. 電気自動車を支えるバッテリーの会社
柴くん:
ねえ小雪ちゃん、「CATL」っていう会社、最近よく名前を聞くんだけど何してるの?
小雪ちゃん:
CATL(シーエーティーエル)は、中国のバッテリーメーカーだよ。正式名は「寧徳時代新能源科技股份有限公司」。主に電気自動車(EV)に使われるリチウムイオン電池を作ってるの。
柴くん:
あ、じゃあ、EVの「燃料」みたいなもん?
小雪ちゃん:
そうそう、ガソリン車でいう「エンジンと燃料タンク」をあわせたような、すごく重要なパーツを担当してるんだよ。EVは電池がないと走れないから、CATLはEV業界の「裏の主役」って呼ばれることもあるよ。
2. 世界トップのバッテリーメーカー
柴くん:
でも中国の企業って、まだ発展中ってイメージがあるんだけど…
小雪ちゃん:
実はCATLは、世界No.1のEVバッテリーメーカーなんだ。2024年の世界シェアは**約37%**で、7年連続トップ。この分野では圧倒的な存在感を持ってるよ。
柴くん:
そんなに!?日本の会社はどれくらい?
小雪ちゃん:
パナソニックは4位。以下の表を見てみて。
順位 | 企業名 | 国 | シェア(2024年) | 売上高(2024年・推定) |
---|---|---|---|---|
1位 | CATL(寧徳時代) | 中国 | 約37% | 約8兆円 |
2位 | BYD | 中国 | 約15% | 約6兆円(電池+車) |
3位 | LGエナジー | 韓国 | 約13% | 約4兆円 |
4位 | パナソニック | 日本 | 約7% | 約2.5兆円(車載電池) |
柴くん:
中国の2社で半分以上か…日本もがんばってほしいな。
3. 世界中の自動車メーカーと組む
小雪ちゃん:
CATLはバッテリー専門の会社だから、いろんな国の自動車メーカーと組んでるよ。たとえば…
- テスラ(アメリカ)
- BMW、メルセデス・ベンツ(ドイツ)
- トヨタ、ホンダ、日産(日本)
- ヒュンダイ(韓国)など
柴くん:
へぇ、日本のメーカーも使ってるんだ!
小雪ちゃん:
うん。たとえばトヨタは中国で販売するEVにCATLの電池を使ってるし、ホンダはCATLとパートナー契約を結んでるよ。EVを作るには高性能で安全な電池が必要だから、信頼できるサプライヤーとの連携が欠かせないんだ。
4. CATLの強さのひみつ
柴くん:
それにしても、どうしてそんなに強いの?
小雪ちゃん:
ポイントは大きく3つあるよ。
① 技術力が高い
とくに「LFP電池(リン酸鉄リチウム)」という、コバルトを使わない安全で安い電池が得意。最近は「ナトリウムイオン電池」など、新しいタイプの開発も進んでる。
② スピードが早い
製品開発や量産のスピードがとても早い。2023年には「10分で充電完了、600km走れるバッテリー」も発表されて話題になったよ。
③ 世界中に巨大工場を建設
ドイツやハンガリー、タイなどにも進出していて、大量生産が可能。自動車メーカーが求める「安定供給」にしっかり応えられる体制を持ってるんだ。
柴くん:
なるほど。スピードも生産力もそろってるって、まさに最強クラスやな。
5. 日本でたとえるとどんな会社?
小雪ちゃん:
もし日本でたとえるなら、こういうイメージかな。
- 村田製作所:超精密な部品を世界中に提供
- トヨタのエンジン開発部門:車の性能の中心を担う
- 京セラや日立の電池部門:蓄電技術のプロ集団
この3つを合体させて、さらに世界展開してるのがCATLって感じ。
柴くん:
たしかにそれはすごいわ…。自動車の心臓を、世界中に届けてるってことだね。
6. 創業者は「公務員出身」のエンジニア
柴くん:
誰がこんなすごい会社を作ったの?
小雪ちゃん:
創業者は曾毓群(Zeng Yuqun)さん。もともとは中国の国営研究所で電池の研究をしてた人なんだけど、2011年にCATLを立ち上げたの。
柴くん:
技術屋さんって感じの人だね。
小雪ちゃん:
うん。あんまりメディアに出てこないし、しゃべりも淡々としてる。でも、その分技術と経営で結果を出してて、2023年には一時的にアジアで一番お金持ちの人になったこともあるんだよ。
7. バッテリーだけにとどまらない広がり
小雪ちゃん:
実はCATLは、もうバッテリーだけの会社じゃなくなってきてるの。
- 再生可能エネルギーの蓄電池(太陽光・風力用)
- データセンター向けの大型蓄電設備
- 宇宙船や鉄道、船舶向けの特殊バッテリー
これらの分野でも事業を広げていて、**「エネルギー全体を支える会社」**に進化しようとしてる。
柴くん:
それってもう、電池の枠を超えてる感じだね。
小雪ちゃん:
そう。将来的には、家庭やビル、都市全体のエネルギー管理も担うようになるかもしれないよ。
8. 知っておきたいCATLの豆知識
柴くん:
なんか面白い話とかある?
小雪ちゃん:
いくつかあるよ!
- CATLの本社がある「寧徳(ニントー)」は、もともと田舎だったけど、今では“バッテリーの都”って言われるくらい発展したよ。
- 社内ルールがユニークで、「1分で決断できない会議は禁止」っていうスピード重視の文化があるらしい。
- 自社でEVを開発したこともあるけど、市販はせず、あくまで「電池専業」にこだわってるところが特徴的だね。
柴くん:
技術もスピードも、会社の方針も徹底してるんだなあ。
9. 未来を支える静かな巨人
小雪ちゃん:
これからEVがどんどん増える時代になると、バッテリーを制する企業が本当に重要になるの。その中心にいるのがCATLだよ。
柴くん:
表には出てこないけど、すごく影響力があるってことか。
小雪ちゃん:
うん。車も、エネルギーも、都市のインフラも、バッテリーなしには動かない。
そう考えると、CATLはまさに現代社会を裏で支える巨人だね。
柴くん:
ただの電池会社って思ってたけど、すごい世界が広がってるんだなあ。未来の動力が、すでに動き出してるって感じ。
小雪ちゃん:
そうだね。これからの社会を形づくる企業のひとつとして、CATLの名前はしっかり覚えておいて損はないよ!
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