― “EV王者の弟分”から世界のスマホ工場へ ―
1|どんな会社?
柴くん:
「小雪ちゃん、“比亜迪電子(BYD Electronic)”ってBYDの仲間なの?」
小雪ちゃん:
「そうだよ。BYD Electronicは2002年に設立された、BYDグループの子会社。BYDが自動車や電池で有名なのに対して、この会社は電子部品やスマホ部品の製造を専門にしてるんだ。」
柴くん:
「へぇ!車じゃなくてスマホ?」
小雪ちゃん:
「そう。実はBYDはEVメーカーになる前から“電池メーカー”で、携帯電話用の電池を作っていたんだ。その流れで電子部品にも進出して、それが独立してBYD Electronicになったんだよ。」
2|どれくらい大きいの?
小雪ちゃん:
「2024年の売上は約2兆円。世界のスマホ部品・EMS企業としてはトップクラスに入る規模だよ。」
柴くん:
「えっ!2兆円!?自動車のBYDよりは小さいけど、日本の電機メーカーと比べてもすごい規模だね。」
小雪ちゃん:
「うん。例えばシャープの全体売上が約2.6兆円だから、それに迫るレベルだね。」
3|主な事業
小雪ちゃん:
「比亜迪電子の事業は大きく分けて3つ。」
- スマホ部品の製造
- メタル筐体(スマホ外装)
- バッテリーパック
- カメラモジュール
- ディスプレイ部品
- EMS(受託製造)
- Apple、Samsung、Huawei、Xiaomiなどのスマホを受託生産
- 工場は中国各地とベトナムに拡大
- 自動車向け電子部品
- EV用の電子制御モジュール
- 車載カメラやディスプレイ
柴くん:
「スマホと車、両方の“電子の心臓”を作ってるんだ!」
4|Appleとの関係
小雪ちゃん:
「比亜迪電子はAppleの重要サプライヤーの一つ。iPhoneやiPadの筐体や組み立てを一部担当してるんだ。」
柴くん:
「えっ!BYDってアップルともつながってるの!?」
小雪ちゃん:
「そう。Foxconn(鴻海精密工業)が有名だけど、Appleはリスク分散のためにBYD ElectronicやLuxshare(立訊精密)にも発注してる。だからBYD Electronicは“ポストFoxconn”って言われることもあるんだ。」
5|強み
柴くん:
「そんなに大手と競争できる理由って何?」
小雪ちゃん:
「BYD Electronicの強みは3つ。」
- バッテリーの技術(BYDグループのDNA)
- 低コスト・高品質の製造能力
- 車載電子とのシナジー(スマホ技術を車に転用できる)
小雪ちゃん:
「特に“車とスマホの技術融合”は今後の成長のカギになるんだよ。」
6|ライバル企業
小雪ちゃん:
「ライバルはやっぱりFoxconn(鴻海)。売上20兆円超の“世界の工場”だよ。それと中国の**Luxshare(立訊精密)**も急成長中。
- Foxconn:圧倒的規模(Apple製品の半分以上を担当)
- Luxshare:AppleのAirPodsや一部iPhoneを生産
- BYD Electronic:スマホ+車載電子のシナジーが強み
柴くん:
「なるほど。規模ではFoxconnにかなわないけど、車載分野までカバーできるのがBYDの差別化なんだね。」
7|日本企業との関わり
小雪ちゃん:
「日本とも関係があるよ。ソニーやシャープのスマホ部品を手がけたこともあるし、今は車載電子でトヨタやホンダと提携する可能性もある。日本の完成車メーカーにとって、BYDはEV市場で競合でもあり、部品サプライヤーでもあるんだ。」
柴くん:
「敵でもあり味方でもあるってやつだね。」
8|課題
小雪ちゃん:
「課題は2つあるよ。」
- Apple依存:受注の多くがApple関連。発注が減ると打撃。
- 低利益率:EMSは利益率が低く、売上は大きくても稼ぎにくい。
柴くん:
「確かに“受託生産”って、どうしても薄利多売のイメージがあるね。」
9|まとめ
- **比亜迪電子(BYD Electronic)**は2002年設立、BYDグループの子会社
- 売上は約2兆円、スマホ部品・EMSで世界上位
- Apple、Samsung、Huaweiなど世界大手のサプライヤー
- 強みは“バッテリー技術+製造力+車載シナジー”
- ライバルはFoxconnとLuxshare
- 日本企業とも協力・競合の両面関係
- 課題はApple依存と低利益率
小雪ちゃん:
「BYD Electronicは“EV王者BYDの弟分”だけど、今や世界のスマホや車の裏方を支える存在になってるんだ。」
柴くん:
「なるほど!スマホの中にも車の中にも、BYDのDNAが入ってるんだね。」
コメント