― “資源の守護者”からEV時代の主役へ ―
1|どんな会社?
柴くん:
「小雪ちゃん、“洛陽モリブデン(China Molybdenum, CMOC)”ってどんな会社なの?」
小雪ちゃん:
「CMOCは中国河南省・洛陽市に本社を置く資源大手だよ。1990年代に設立されて、もともとはモリブデンやタングステンといったレアメタルの採掘から始まった会社。今では銅・コバルト・ニオブ・リン酸塩まで扱う“総合資源企業”に成長してるんだ。」
柴くん:
「レアメタルって、スマホや電気自動車に欠かせないやつだよね?」
小雪ちゃん:
「そう!だからCMOCは“EV時代の隠れた勝者”って呼ばれてるんだ。」
2|どれくらい大きいの?
小雪ちゃん:
「2024年の売上は約2.7兆円。世界の資源企業ランキングでTOP10に入る規模なんだ。資源メジャーのリオ・ティントやBHPほどではないけど、中国企業としては国際的にもかなり存在感があるよ。」
柴くん:
「2.7兆円!?日本の大手商社(住友商事や丸紅)に匹敵するレベルだね。」
小雪ちゃん:
「そう。しかも銅やコバルトはEV用バッテリーや再エネ設備に欠かせないから、将来性も大きいんだ。」
3|モリブデンって何に使うの?
柴くん:
「でも“モリブデン”って名前は聞いたことあるけど、何に使うの?」
小雪ちゃん:
「モリブデンは鉄鋼を強くする添加剤として使われるんだ。ステンレスや特殊鋼に入れると、耐熱性や耐食性が上がる。だから建築、発電所、化学プラント、さらには軍事産業でも使われてるよ。」
柴くん:
「なるほど!“鉄をレベルアップさせるビタミン”みたいな存在なんだね。」
小雪ちゃん:
「そう。そしてCMOCはその世界有数の生産者なんだ。」
4|銅とコバルトの重要性
小雪ちゃん:
「最近のCMOCの注目ポイントは“銅とコバルト”。」
- 銅:電気を通しやすいから、送電網やモーターに必須
- コバルト:EV用リチウムイオン電池の安定性を高める材料
小雪ちゃん:
「CMOCはアフリカ・コンゴ民主共和国(DRC)に巨大な銅・コバルト鉱山を持っていて、世界のEVサプライチェーンを支えてるんだよ。」
柴くん:
「EVの裏側に中国の鉱山会社がいるって、ちょっと意外だね。」
5|海外展開
小雪ちゃん:
「CMOCは“海外資源の確保”に積極的で、中国以外にこんな拠点があるよ。」
- コンゴ民主共和国:Tenke Fungurume鉱山(銅・コバルト世界有数)
- ブラジル:ニオブ鉱山(航空宇宙用のレアメタル)
- オーストラリア:リン酸塩資源(肥料に利用)
柴くん:
「すごい!世界中に“資源の足場”を広げてるんだね。」
小雪ちゃん:
「そう。まさに“資源外交の最前線”を担ってるんだよ。」
6|日本との関わり
小雪ちゃん:
「日本ともつながりがあるよ。日本の自動車メーカーや電池メーカーは、コバルトやニッケルの調達でCMOCと取引している。直接名前は出ないけど、トヨタやパナソニックのバッテリーにも間接的にCMOCの資源が入ってる可能性が高いんだ。」
柴くん:
「つまり日本のEV産業も、CMOCなしでは成り立たない部分があるんだね。」
7|ライバル企業
小雪ちゃん:
「CMOCのライバルは世界の資源メジャーだね。」
- グレンコア(スイス):コバルト世界No.1
- リオ・ティント、BHP(豪州):鉄鉱石・銅で世界的規模
- 紫金鉱業(中国):同じ中国の鉱山大手、海外進出で競合
柴くん:
「なるほど。EVや再エネ需要で“資源メジャー vs 中国鉱山大手”の戦いが起きてるんだね。」
8|課題
小雪ちゃん:
「課題もあるよ。」
- 環境問題:鉱山開発による環境破壊や人権問題への批判
- 資源価格の変動:銅やコバルトの価格次第で業績が上下
- 海外リスク:アフリカでの政情不安や資源ナショナリズム
柴くん:
「確かに資源ビジネスって“資源を掘る”だけじゃなくて、政治や環境問題とも直結するんだね。」
9|まとめ
- **洛陽モリブデン(CMOC)**は中国河南省本社の資源大手
- 2024年売上は約2.7兆円、世界資源企業TOP10級
- モリブデン世界有数の生産者 → 鉄鋼を強化する重要材料
- 銅・コバルトの採掘でEV・再エネ産業を支える
- アフリカ・ブラジル・オーストラリアに資源拠点
- 日本の自動車・電池産業とも取引あり
- 課題は環境・価格変動・海外リスク
小雪ちゃん:
「CMOCは“資源の守護者”から“EV時代の主役”に変わろうとしてるんだよ。」
柴くん:
「なるほど!電気自動車を走らせるのはモーターやバッテリーだけじゃなくて、その材料を掘ってくる鉱山会社なんだね。」
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