― 抗生物質から新薬へ、中国製薬の“次の主役” ―
1|どんな会社?
柴くん:
「小雪ちゃん、“石薬集団(CSPC)”ってどんな会社なの?」
小雪ちゃん:
「石薬集団は中国・河北省石家荘市に本社を置く製薬企業だよ。1938年に創業して、最初は“抗生物質やビタミン剤”を作る会社だったんだ。今では中国を代表する総合製薬企業のひとつになってるよ。」
柴くん:
「石家荘の“石”を取って“石薬集団”って名前なのかな?」
小雪ちゃん:
「そうそう、まさに地名が社名になってるんだ。」
2|どれくらい大きいの?
小雪ちゃん:
「2024年の売上は約6,500億円。中国の製薬企業としてはトップクラスで、世界的に見ても中堅〜大手に位置づけられるよ。従業員は約2万人。香港証券取引所に上場していて、投資家からも注目されてるんだ。」
柴くん:
「へぇ!日本の製薬大手(武田薬品とか第一三共)が2兆円超だから、それには及ばないけど、しっかり大きい会社だね。」
小雪ちゃん:
「そう。しかもCSPCは“成長力のある会社”として注目されてるんだ。」
3|主な事業
小雪ちゃん:
「CSPCの事業は大きく3つに分けられるよ。」
- 化学製薬
- 抗生物質(ペニシリン、アモキシシリン)
- ビタミンC(世界最大級の生産能力)
- ジェネリック医薬品
- バイオ医薬
- 抗体医薬品
- がん免疫療法の研究開発
- バイオシミラー(バイオ医薬の後発品)
- イノベーション医薬
- がん治療薬(特に肺がん・乳がん向け)
- 心血管系・糖尿病治療薬
- 中枢神経系の新薬開発
柴くん:
「昔は抗生物質やビタミンが中心だったけど、今はがんや糖尿病の薬まで作ってるんだね!」
小雪ちゃん:
「そう。“ジェネリックから新薬へ”っていう進化を遂げてるんだよ。」
4|なぜ注目されてるの?
柴くん:
「どうしてCSPCは注目されてるの?」
小雪ちゃん:
「理由は“研究開発への積極投資”だよ。毎年売上の15%以上を研究に回していて、中国企業の中ではかなり高い割合。
- がん免疫チェックポイント阻害薬
- 分子標的薬
- バイオ医薬品
こうした分野に挑戦しているから、“中国の次世代製薬リーダー”って呼ばれてるんだ。」
柴くん:
「欧米の製薬大手と同じように、“新薬で勝負できる会社”に進化しようとしてるんだね!」
5|ライバルとの比較
小雪ちゃん:
「ライバルはやっぱり中国国内外の大手製薬会社だよ。」
- 恒瑞医薬(Hengrui):中国最大級の新薬メーカー、がん治療に強い
- 復星医薬(Fosun Pharma):買収戦略で急成長、海外展開も活発
- ロシュ(スイス):世界トップ、がん領域で圧倒的強み
- 中外製薬(日本):ロシュ傘下、抗体医薬で強み
小雪ちゃん:
「石薬集団は規模ではロシュや武田には劣るけど、“研究開発に投資して伸びてる会社”として評価されてるんだ。」
柴くん:
「つまり“安定感の恒瑞”“買収型の復星”“研究型の石薬”って感じだね。」
6|日本との関わり
小雪ちゃん:
「日本とも関係あるよ。例えば中外製薬や第一三共と同じ領域(がん、糖尿病)を狙っているから、日本市場でも競合になる可能性があるんだ。
それにCSPCは“ビタミンCの世界最大供給者”だから、日本の飲料やサプリの原料も間接的にCSPC製かもしれないよ。」
柴くん:
「えっ!僕が飲んでるビタミンドリンクの原料が、中国の石薬集団の工場で作られてる可能性があるのか!」
7|課題
小雪ちゃん:
「もちろん課題もあるよ。」
- 国際的な臨床試験や認証の経験がまだ少ない
- 海外でのブランド力が弱い
- 中国国内の薬価規制で利益率が下がるリスク
柴くん:
「新薬を作っても、世界で認められないと広がらないんだね。」
小雪ちゃん:
「そう。でも近年はアメリカや欧州での臨床試験も増えていて、“世界進出”への準備を進めてるよ。」
8|まとめ
- **石薬集団(CSPC)**は1938年創業、中国河北省の大手製薬企業
- 売上は約6,500億円(2024年)、従業員2万人
- 事業は「化学製薬」「バイオ医薬」「イノベーション医薬」の3本柱
- 抗生物質・ビタミンから新薬開発へシフト中
- 中国内のライバルは恒瑞医薬や復星医薬、世界ではロシュや中外製薬
- 日本ともビタミン原料などで関わりあり
- 課題は国際認証や薬価規制だが、“次世代リーダー”として期待大
小雪ちゃん:
「石薬集団は“ジェネリックの巨人”から“新薬の挑戦者”に変わろうとしてるんだよ。」
柴くん:
「なるほど!中国の医薬品ってまだジェネリックのイメージが強いけど、石薬みたいな会社が世界の舞台に出てきたら、一気にイメージが変わるかもね。」
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