──“都市を見守るAI”、社会の裏側を支える静かな巨人
1. 名前からして、ちょっとロマンあるね
柴くん:ねぇ小雪ちゃん、「Cloudwalk」ってなんか詩的な名前じゃない?
“雲の上を歩く”って感じで。
小雪ちゃん:そう!
中国語では「雲従科技(ユンツォン・クージー)」って言って、
意味は「クラウド(雲)と共に歩むテクノロジー」。
AIとデータで社会全体を支える会社なんだ。
柴くん:おお〜なんかMegviiやSenseTimeとはちょっと雰囲気違うね。
2. 出発点は「中国科学院」から
小雪ちゃん:実はこの会社、
2015年に**中国科学院(アカデミー・オブ・サイエンス)出身の研究者グループが設立したんだよ。
創業者は周曦(ジョウ・シー/Zhou Xi)**さん。
彼はAI画像処理の博士で、もともと大学教授だったんだけど、
「研究室のAIを、現実社会に使いたい」って思って企業化したの。
柴くん:つまり、“研究者がそのまま社長になった”タイプか!
小雪ちゃん:そう。Cloudwalkは最初から学問の香りがする会社なんだ。
3. 得意分野は「顔認識×金融×スマートシティ」
小雪ちゃん:Cloudwalkは、AIで“人の顔や行動”を解析する技術が得意。
でもMegviiやSenseTimeと違うのは、金融・交通・公共インフラへの応用が中心なんだ。
たとえば——
🏦 銀行では、顔認証で本人確認してATMを操作できる。
🚆 空港では、チケットなしで顔をスキャンすれば搭乗できる。
🏙️ 都市では、カメラの映像から交通量や安全をAIが分析。
柴くん:うわぁ…便利だけど、ちょっと未来感すごいね。
小雪ちゃん:うん、中国ではもうそれが日常のインフラになりつつあるんだ。
4. 数字で見るCloudwalkの規模
| 年 | イベント | 内容 |
|---|---|---|
| 2015年 | 創業 | 広州に設立 |
| 2017年 | 中国工商銀行(ICBC)と契約 | 全国のATMに顔認識導入 |
| 2020年 | 「AI国家プロジェクト」採択 | 政府系AI企業として認定 |
| 2021年 | 上海証券取引所に上場 | 売上 約400億円 |
| 2024年 | 顔認識+AI都市運用で拡大 | 年間売上 約600億円前後 |
柴くん:Megviiよりちょっと小さめだけど、
公共系の仕事が多いってことは、めっちゃ信頼されてるんだね。
小雪ちゃん:そう、彼らは“社会の裏方AI”なんだ。
5. どこにでもあるけど、目立たないAI
小雪ちゃん:CloudwalkのAIって、実は中国全土に入ってるんだけど、
ロゴを見かけることはほとんどないんだ。
柴くん:なんで?
小雪ちゃん:表に出るよりも、
**“システムの中で黙って働く”**ことを大事にしてるから。
まるで「社会の神経ネットワーク」みたいに、
裏側でデータをつないでるんだよ。
柴くん:なるほど。影の主役って感じだね。
6. AIの「公平さ」を重視
小雪ちゃん:周曦さんのポリシーも独特でね、
AIを使うときに「正確さより公平さ」を重視してるんだ。
「算法应有温度,技术必须有善意。」
(Suàn fǎ yīng yǒu wēn dù, jì shù bì xū yǒu shàn yì.)
「アルゴリズムには温度を、テクノロジーには善意を。」
柴くん:うわぁ、なんか優しいAIの考え方だね。
小雪ちゃん:でしょ?
彼はAIの“監視的”な使い方を警戒してて、
「AIは人を見張るためじゃなく、助けるための道具」だって言ってるの。
7. 他社との違い
| 企業名 | 得意分野 | 主な用途 | イメージ |
|---|---|---|---|
| Megvii(旷視科技) | 顔認識・物流AI | セキュリティ・物流 | スピードと規模の企業 |
| SenseTime(商湯科技) | 映像AI・教育 | 自動運転・医療 | 巨大なAI研究所 |
| Cloudwalk(雲従科技) | 金融・交通・公共AI | スマートシティ | 静かな社会インフラ企業 |
柴くん:Cloudwalkって、AIの“公共交通機関”みたいな存在だね。
小雪ちゃん:まさに!
“使う人は意識しないけど、止まったら社会が困る”って感じ(笑)。
8. 社長・周曦(Zhou Xi)の人物像
小雪ちゃん:周曦さん自身はすごく静かなタイプ。
でもAIの倫理問題に関してはすごく熱い。
「AI不是上帝,而是镜子。」
(AI bú shì shàng dì, ér shì jìng zi.)
「AIは神ではなく、人間を映す鏡だ。」
柴くん:うわぁ…名言だね。
小雪ちゃん:うん。
だからCloudwalkのAIは“判断する”より“支える”方向を目指してるの。
9. 世界の展開と今後
小雪ちゃん:Cloudwalkは中国以外でも、
アフリカや中東の都市でスマートシティ構築を手がけてる。
銀行・交通・行政のデータを一体化する「City Brain(都市の頭脳)」を輸出してるんだよ。
柴くん:City Brain! 名前がすごい(笑)
小雪ちゃん:でも実際、それがないと渋滞や防犯が回らない都市もあるくらい。
中国だけじゃなく、“AIで都市を運営する”モデルを世界に広げてるんだ。
10. まとめ
小雪ちゃん:まとめると——
- **Cloudwalk(雲従科技)**は2015年創業のAI企業。
- 中国科学院出身の研究者・**周曦(ジョウ・シー)**が創業。
- 顔認識×金融×スマートシティを主軸に発展。
- 売上は約600億円、中国AI四天王のひとつ。
- モットーは「アルゴリズムに温度を、テクノロジーに善意を。」
- “見るAI”ではなく、“支えるAI”を目指す。
柴くん:派手さはないけど、めちゃくちゃ本質的だね。
小雪ちゃん:うん。
Cloudwalkは、AIを「社会の血管」にした会社なんだ。
目立たないけど、止まったら世界が困る——そんな“静かな巨人”だよ💡


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