― ボーイングとエアバスに挑む“中国の空の夢” ―
1|どんな会社?
柴くん:
「小雪ちゃん、“商飛(COMAC)”ってどんな会社なの?」
小雪ちゃん:
「正式名称は中国商用飛機有限責任公司(Commercial Aircraft Corporation of China, Ltd.)。2008年に設立された、中国の国有航空機メーカーだよ。略して“COMAC(コマック)”とも呼ばれてる。」
柴くん:
「航空機メーカーって、つまりボーイングやエアバスと同じことをやろうとしてるんだね!」
小雪ちゃん:
「そう。“中国製の旅客機で空を飛ばしたい”っていう国家的な夢を背負ってるんだ。」
2|どれくらい大きいの?
小雪ちゃん:
「従業員は約1万人以上、上海に本社と組立工場があるよ。2024年の売上は約4,500億円。ボーイング(約11兆円)、エアバス(約10兆円)と比べるとまだ小さいけど、中国政府が全力で支援しているから、存在感はすごく大きいんだ。」
柴くん:
「なるほど。規模ではまだ及ばないけど、“国家プロジェクト”って強みがあるんだね。」
3|代表的な機体
小雪ちゃん:
「COMACの代表作は3つあるよ。」
- ARJ21
- 70〜90席のリージョナルジェット
- 2016年に商業運航開始
- 中国国内線で運用が増えてる
- C919
- 150〜180席の中型旅客機
- エアバスA320やボーイング737に対抗
- 2023年に商業運航を開始、東方航空が初導入
- CR929(開発中)
- 250〜300席の大型機
- ロシアのUACと共同開発
- 将来はボーイング787やエアバスA350に挑む
柴くん:
「おお!だんだんステップアップしていってるんだね。小さい機体から始めて、いまは737やA320に勝負を挑んでるんだ。」
4|なぜ中国は自前の旅客機を作るの?
柴くん:
「でもさ、もうボーイングやエアバスがあるのに、わざわざ中国が作る必要あるの?」
小雪ちゃん:
「それは“航空産業は国家の戦略産業”だからだよ。航空機は安全保障にも直結するし、産業の裾野も広い。1機の旅客機には数百万点の部品が使われるから、エンジン、電子機器、素材、整備…あらゆる産業を引っ張る力があるんだ。」
柴くん:
「なるほど!だから中国は“国産旅客機”を持つことにこだわるんだね。」
小雪ちゃん:
「そう。“空の覇権”を握るのは、ただの経済じゃなくて国家の誇りなんだよ。」
5|C919の意義
小雪ちゃん:
「特にC919は中国にとって象徴的な存在なんだ。これが成功すれば“世界三大旅客機メーカー(ボーイング・エアバス・COMAC)”になるかもしれない。
- 航続距離は約5,500kmで、北京〜シンガポールや東京〜バンコクを飛べる
- 燃費性能はA320やB737に匹敵
- 2024年時点で1,000機以上の受注がある(大半は中国国内)
柴くん:
「1,000機ってすごい!でもやっぱり中国の航空会社ばっかりなんでしょ?」
小雪ちゃん:
「そうだね。まだ海外の航空会社の導入は少ない。でも、中国国内だけでも巨大市場だから、商業的には十分成立するんだ。」
6|日本との比較:三菱スペースジェットの教訓
柴くん:
「日本も三菱スペースジェット(旧MRJ)を作ろうとしたけど、結局失敗したよね…。中国はうまくいってるの?」
小雪ちゃん:
「いい比較だね。三菱スペースジェットは技術的には優れていたけど、“認証の壁”を越えられなかった。アメリカや欧州の厳しい規制に対応するのが難しかったんだ。
一方、中国は“国内需要”をフル活用できる。つまり“まずは中国国内で飛ばす → 実績を積んで海外へ”って戦略なんだ。」
柴くん:
「なるほど!国内に巨大市場がある中国と、日本の小さな市場の違いか。」
7|課題は?
小雪ちゃん:
「もちろんCOMACにも課題はあるよ。」
- 部品依存:エンジンや電子機器はまだGE(米国)やCFM(米仏合弁)に依存
- 安全性・信頼性:ボーイングやエアバスの数十年の実績には及ばない
- 国際認証:欧州(EASA)や米国(FAA)の認証を取るのはハードルが高い
柴くん:
「つまり“作れるようになった”けど、“世界中で飛ばせる”にはまだ壁があるってことだね。」
8|これからの展望
小雪ちゃん:
「中国は2035年までに“航空機の完全国産化”を目標にしていて、エンジンも独自開発を進めてる。もしそれが成功すれば、ボーイングやエアバスにとって本当に強力なライバルになるよ。」
柴くん:
「空の世界も“トヨタvsテスラ”みたいな新旧の戦いになるんだね!」
まとめ
- **商飛(COMAC)**は2008年設立の中国国有航空機メーカー
- 世界3位を目指す存在、売上は約4,500億円(2024年)
- ARJ21(小型機)、C919(中型機)、CR929(大型機)を開発
- C919はA320・B737に挑戦、国内で1,000機以上を受注
- 日本の三菱スペースジェットとの違いは“国内市場の大きさ”
- 課題はエンジン・電子機器の輸入依存、国際認証の壁
- 2035年までに“完全国産航空機”を目指す
小雪ちゃん:
「COMACはまさに“中国の夢を乗せた飛行機”。まだ世界の空で主役にはなれてないけど、いつかボーイングやエアバスに並ぶかもしれないよ。」
柴くん:
「なるほど!僕たちが乗る飛行機が“Made in China”になる日も近いのかもね。」
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