― 中国の“原子力エンジン” ―
1|どんな会社?
柴くん:
「小雪ちゃん、“中広核集団”って聞いたことないけど、何をしてる会社なの?」
小雪ちゃん:
「正式名称は中国核工業集団有限公司(China National Nuclear Corporation, CNNC)。略して“中核集団”とか“CNNC”って呼ばれるんだ。簡単に言うと、中国の原子力発電と核燃料サイクルを担う国有企業だよ。」
柴くん:
「なるほど!日本でいう東芝や日立の原子力部門みたいな感じ?」
小雪ちゃん:
「それに加えて、核燃料の採掘から廃棄物処理、さらに軍事分野(核兵器関連の研究)まで関わるから、実際はもっと大きな役割を持ってるんだ。」
2|どれくらい大きいの?
小雪ちゃん:
「2024年時点で従業員は10万人以上。売上は約2.5兆円規模で、中国のエネルギー企業の中でもトップクラスに入る。中国全土の原子力発電所の半分以上を建設・運営してるんだ。」
柴くん:
「10万人!?もう一つの国みたいだね…。」
小雪ちゃん:
「そう。CNNCは“エネルギーの要”として国家戦略に組み込まれているんだよ。」
3|主な事業
小雪ちゃん:
「CNNCの事業は大きく4つに分けられるよ。」
- 原子力発電
- 中国各地で原子力発電所を建設・運営
- 第三世代炉「華龍一号(Hualong One)」を開発
- 核燃料サイクル
- ウランの採掘
- 燃料加工
- 使用済み燃料の再処理
- 原子力技術の輸出
- パキスタン、アルゼンチンなどに中国型原発を輸出
- 「華龍一号」の海外展開
- 軍事・研究分野
- 中国の核兵器研究にルーツを持つ
- 原子力潜水艦の動力開発にも関与
柴くん:
「発電所を作るだけじゃなくて、ウラン掘って、燃料作って、使い終わった核燃料も処理して、さらに軍事まで…“核の全部”をやってるんだね。」
4|中国の原子力開発とCNNC
小雪ちゃん:
「中国は“脱炭素”のために原子力を重要視していて、2035年までに原発100基以上を稼働させる計画なんだ。その中心を担うのがCNNC。
特に“華龍一号”は国産第三世代炉で、安全性を高めつつ、輸出も視野に入れてる。これはフランスのEPRや日本のABWRに並ぶ最新型の一つなんだよ。」
柴くん:
「へぇ!日本が原発輸出に苦戦してるのに、中国は着実に海外展開してるんだね。」
5|海外展開
小雪ちゃん:
「CNNCはパキスタンにすでに複数の原発を輸出して稼働させてるし、アルゼンチンや中東でも交渉中なんだ。“原子力外交”の最前線にいる企業だよ。」
柴くん:
「原発ってエネルギー供給だけじゃなくて、外交カードにもなるんだね。」
小雪ちゃん:
「そう。だからCNNCは単なる企業じゃなく、“中国の国策ツール”としても見られてるんだ。」
6|日本との比較
小雪ちゃん:
「日本だと三菱重工・東芝・日立が原子力分野を担ってるけど、規模はCNNCに比べると小さい。
- 日本企業:設計や建設が中心、燃料サイクルや軍事は限定的
- CNNC:採掘から廃棄、軍事まで“核のフルセット”
柴くん:
「つまり日本は“部分的担当”、中国は“全部やる”。スケールが違うんだね。」
7|課題
小雪ちゃん:
「もちろん課題もあるよ。」
- 安全性:中国国内外で“透明性が不十分”と指摘される
- 廃棄物処理:高レベル放射性廃棄物の最終処分は未解決
- 国際リスク:原子力輸出が“軍事転用の懸念”を呼びやすい
柴くん:
「なるほど。原発ビジネスはエネルギーだけじゃなくて、国際政治とも深く関わってるんだね。」
8|まとめ
- **中広核集団(CNNC)**は中国の原子力を統括する国有企業
- 売上約2.5兆円、従業員10万人超
- 原子力発電、燃料サイクル、輸出、軍事までフルカバー
- 国産第三世代炉「華龍一号」で海外展開を進める
- 日本企業よりスケールが大きく、“核の全部”を担う存在
- 課題は安全性・廃棄物処理・国際政治リスク
小雪ちゃん:
「CNNCはまさに“中国の原子力エンジン”。国内のエネルギー戦略と、海外への影響力拡大の両方を担ってるんだよ。」
柴くん:
「なるほど!僕らがこれから乗る飛行機や使う電気、そのエネルギーの一部に、CNNCの原発が関わってる可能性もあるんだね。」
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