― 中国“不動産三強”の優等生 ―
1|どんな会社?
柴くん:
「小雪ちゃん、“万科企業(バンケ)”ってどんな会社なの?」
小雪ちゃん:
「万科は1984年に誕生した中国の大手不動産開発会社で、マンション分譲を中心に“都市の住宅ブランド”として定着しているんだ。中国では“マンションといえば万科”って言われるくらいの存在感があるよ。」
柴くん:
「日本でいうと“三井不動産レジデンシャル”とか“住友不動産”みたいな感じかな?」
小雪ちゃん:
「そうだね。ただし中国の都市化スピードが速すぎて、日本の比じゃないくらいの規模感なんだ。」
2|どれくらい大きいの?
小雪ちゃん:
「2024年の万科の売上は約8.5兆円。日本最大の三井不動産(約2.3兆円)の3倍以上だから、ケタ違いだよ。」
柴くん:
「うわ、やっぱり中国の住宅市場はすごいな。」
小雪ちゃん:
「万科は長い間、中国不動産の“三強”のひとつとして君臨してきたんだ。残りの二つが**碧桂園(Country Garden)と恒大集団(Evergrande)**だよ。」
3|三強の性格を比べると?
柴くん:
「えっ、その3社ってどんな違いがあるの?」
小雪ちゃん:
「ざっくり言うとこんな感じだね。」
- 万科(Vanke):堅実経営。財務管理を徹底し、無理な拡大を避けて安定感を重視。
- 碧桂園(Country Garden):地方都市で強い。価格を抑えたマンションを大量供給して“中国の庶民の家”を築いた。
- 恒大集団(Evergrande):とにかく拡大。住宅以外に電気自動車やサッカークラブにまで手を出した結果、資金繰りが破綻。
柴くん:
「なるほど!日本に例えると、万科は“三井不動産”の安定感、碧桂園は“地方住宅メーカー”の大量供給型、恒大は“冒険しすぎて転んだ総合商社”みたいなイメージだね。」
4|堅実な万科、スピードの碧桂園、暴走の恒大
小雪ちゃん:
「万科は“堅実”っていう評判が一番強いんだ。借金を増やしすぎず、利益率は高くなくても安全第一で経営してきた。だから恒大がデフォルト(債務不履行)して、中国不動産バブルが崩壊しかけた時でも、比較的持ちこたえたんだよ。」
柴くん:
「じゃあ碧桂園は?」
小雪ちゃん:
「碧桂園は中国の二級都市・三級都市で強かった。地方の若者でも手が届く価格帯のマンションをどんどん供給して、中国の都市化を支えたんだ。でもその分、低価格をカバーするために大量販売に頼ったから、不況で販売が止まると一気に苦しくなったんだよ。」
柴くん:
「なるほど。量で勝負するビジネスは景気に左右されやすいんだね。」
小雪ちゃん:
「そう。そして恒大は…」
5|恒大の“暴走”と破綻
小雪ちゃん:
「恒大は“不動産王者”から“一大経済問題”に転落した典型例。借金で土地を買いまくって販売を拡大、さらに電気自動車、サッカー、テーマパーク…と本業から離れた投資をしすぎた。結果、債務超過で2021年以降は経営危機に陥ったんだ。」
柴くん:
「つまり恒大は、バブルを膨らませすぎて弾けちゃったんだ。」
小雪ちゃん:
「そう。だから不動産“三強”のなかで今でも比較的安定してるのは、万科なんだよ。」
6|万科の今とこれから
小雪ちゃん:
「万科は最近、住宅一本足からの脱却を進めてる。たとえば…」
- 物流施設(ECの発展に合わせた倉庫開発)
- 賃貸マンション(若者や単身者向けに拡大)
- 都市再開発プロジェクト(上海や深圳の再開発に参画)
小雪ちゃん:
「不動産不況のなかでも、新しい需要に合わせて“生き残り戦略”を打ち出してるんだ。」
柴くん:
「なるほど。住宅に頼りすぎない経営でリスクを分散してるんだね。」
まとめ
- 万科(Vanke):中国不動産の優等生。堅実経営で安定感あり。
- 碧桂園(Country Garden):地方都市で爆発的に伸びたが、不況に弱い。
- 恒大(Evergrande):無謀な多角化で破綻、バブル崩壊の象徴。
- 2024年の万科の売上は約8.5兆円、日本の三井不動産の3倍以上。
- 今後は物流・賃貸・都市再開発などへ多角化して生き残りを図る。
小雪ちゃん:
「中国の不動産“三強”を見比べると、同じ業界でも経営スタイルで運命が全然違うってわかるよね。」
柴くん:
「ほんとだ!万科は“安定型”、碧桂園は“スピード型”、恒大は“暴走型”って感じだね。これ、テストに出そう(笑)」
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