「北上広(北京・上海・広州)」——これらの都市名は長い間、成功と豊かさの代名詞だった。地方から夢を持ってやってきた若者たちが、ここで稼ぎ、成長し、「一線都市での生活」を手に入れることを目標にしてきた。しかし今、その流れが静かに変わりつつある。「最後の時代の恩恵」を手にした人々が、都市を離れ始めている。
今回の圆桌派「北京・上海・広州を去る人々——「最後の時代の恩恵」を持って撤退した第一陣」は、中国の大都市離れという現象を、単なる統計ではなく人々の選択と感情として語り合う回だ。去る理由、残る理由、そしてその先に何があるのか——4人が率直に語る。
📺 今回の放送ハイライト
窦文涛が紹介したのは「撤退組」と呼ばれる人々のエピソードだ。上海で15年働いた後、故郷の成都に戻ったITエンジニア。北京で広告会社を経営していたが、深センの二線都市に移転した起業家。彼らに共通するのは「一線都市での黄金期は終わった」という感覚だ。梁文道は「「終わった」というより「ステージが変わった」と表現した方がいい。彼らは逃げたのではなく、先を読んで動いた」と語った。
許子東は「コストとリターンの計算が変わった」と分析した。かつては一線都市での高い家賃・高い生活費を払っても、それ以上の収入・機会・人脈があった。しかし今は、地方都市でも相当の生活水準が実現でき、リモートワークの普及で場所を選ばない仕事も増えた。「一線都市のコストを払うメリットが薄れてきた——それだけの話だ」というシンプルな説明が明快だった。
馬家輝は香港の経験から語った。「香港でも、コロナ後に「もう香港にいなくてもいい」と気づいた人が増えた。台湾、日本、東南アジア——散らばっていった。でも面白いことに、離れてから「香港が好き」という感情が強まった人も多い。場所を離れることで、その場所への本当の気持ちが見えてくる」。この観察は、多くの視聴者の共感を呼んだ。
💬 注目の対話
窦文涛:「でも、都市を去るって、やっぱり「負け」という感覚がありますよね?」 梁文道:「それが固定観念なんですよ。「成功=一線都市」という方程式は、そろそろ更新すべき時期だ。地方で豊かに、自由に生きている人を「負け」と呼ぶのは、ひどく時代遅れな価値観だ」 窦文涛:「確かに。「どこで成功するか」より「何を成功と定義するか」の問題ですね」
許子東:「「最後の時代の恩恵を持って撤退」というタイトルが面白い。彼らはただ逃げたのではなく、都市で得たスキル・ネットワーク・資本を持って、次の場所で新しいゲームを始めようとしている」 馬家輝:「それって、最も賢い撤退ですよね。勝利の記憶と資産を抱えて、新しい戦場に移る」
🔍 さらに深掘り
番組では「どこに行く人が多いか」も具体的に語られた。成都・重慶・長沙・西安——これらの内陸都市が移住先として急浮上している。独自の食文化、比較的低い生活コスト、発展する産業基盤、そして「生きやすい空気感」——梁文道は「かつては「二線都市」と呼ばれていたが、今は「魅力的な選択肢」と呼ぶべきだ。中国の都市の成熟度が全体的に上がった証拠だ」と評価した。
「田舎に戻る」という選択についても語られた。農村部出身の若者が、都市で経験を積んだ後に故郷に戻り、農業のIoT化・観光農園・直売ECなど新しいビジネスを始める動きが増えているという。許子東は「この「新農村起業家」たちは、都市と地方の橋渡し役として非常に重要な存在だ。彼らが地方を再活性化するポテンシャルは大きい」と期待を語った。
「去ったものが失うもの、得るもの」という整理も面白かった。失うもの:都市の刺激、人脈の密度、最先端の情報。得るもの:時間、空間、健康、家族との関係。馬家輝は「結局、何を「豊かさ」と定義するかだ。お金と刺激だけが豊かさではない。静かな時間の中で育てられるものがある」と述べた。
🔑 重要なポイント
- 一線都市(北上広)離れが静かに進行——コストとリターンの計算が変わった
- 「撤退」ではなく「次のステージへの先読み」——都市のスキル・資本を持って次の場所へ
- 成都・重慶・長沙・西安など内陸都市が魅力的な選択肢として急浮上
- 農村部への帰還起業家(新農村起業家)が農業IoT・観光農園・直売ECで地方を再活性
- 「成功=一線都市」という方程式の更新時——豊かさの定義を自分で決める時代
- 場所を離れることで、その場所への本当の気持ちが見える(香港の経験より)
🇯🇵 日本への示唆と提言
日本でも地方移住への関心がコロナ後に急上昇した。東京一極集中の是正が長年の政策課題となっている中、中国の「内陸都市への人口分散」という現象は、日本の地方活性化政策にも示唆を与える。「地方でも十分に豊かに生きられる」という実感を若い世代に持ってもらうことが、地方移住促進の鍵だという点は、両国に共通する課題だ。
「新農村起業家」という概念は、日本の「地域おこし協力隊」や「Uターン起業」と似た文脈にある。都市で得たスキルと視点を地方に持ち帰り、新しいビジネスを生み出す人々が増えることは、地域経済の再生の観点から非常に重要だ。日本と中国の事例を相互参照することで、より効果的な施策が生まれる可能性がある。
「何を豊かさと定義するか」という問いは、日本社会でも重要だ。GDP成長率が停滞する中、「別の指標での豊かさ」を語り合うことが、社会の閉塞感を打破する一歩になる。中国の圆桌派がこのテーマを正面から取り上げている事実は、日本のメディアや教育者にとっても、大きな示唆だ。
✨ まとめ
都市を去る人々を「敗者」と見る視点は、この番組を見た後では成立しない。彼らは「次の時代を先読みして動いた賢い選択者」だ。梁文道が言ったように、豊かさの定義を自分で決めること——それが、変化の時代を生きる最も自由で力強い姿勢だ。このエピソードは、その姿勢を体現する多くの人々の物語で溢れている。
都市での生活に疑問を感じている方、地方移住を考えている方、あるいは「豊かな生き方とは何か」を問い直したい方——ぜひこの回を観てほしい。新しい視点が、きっと見つかる。
🔖 基本情報
- 番組名:圆桌派(圓卓派)シーズン7
- MC:窦文涛(ドウ・ウェンタオ)
- ゲスト:梁文道・許子東・馬家輝
- テーマ:北京・上海・広州を去る人々——豊かさの定義を更新する時代
梁文道はエピソードの最後に「「去る」も「残る」も、自分で選んだなら正解だ。大切なのは、他人の基準ではなく自分の基準で生きること。その勇気が、場所を選ぶ前に必要だ」と語った。選択肢が増えた時代だからこそ、自分が何を大切にするかを問い続けることの重要性を、この言葉は静かに、でも力強く伝えてくれる。
視聴後のコメントには「成都に移住することを迷っていたが、この回を見て背中を押してもらえた」「北京に残っている自分の選択も、改めて自分のものとして肯定できた」という声が並んでいた。去る人も、残る人も、それぞれの選択を肯定できる視点——圆桌派のこのバランス感覚は、視聴者に真の意味での自由をもたらしている。
「どこで生きるか」は、「どう生きるか」と切り離せない問いだ。三大都市の輝きが相対化された今、私たちは改めてこの問いと向き合う機会を得ている。その問いへの道連れとして、圆桌派のこのエピソードは最良の友だと思う。
📚 中国をもっと深く知る
圆桌派が好きなあなたへ、中国ビジネス・文化・人物のおすすめ記事をピックアップ。
- 🌟 中国の経営者シリーズ — アリババ・ファーウェイ・BYDなど創業者37名
- 🏢 中国の会社シリーズ — 注目企業262社の成長ストーリー
- 📖 中国コラムシリーズ — 文化・社会・経済の解説
📈 中国の成長を投資で取りに行くなら → 中国株の始め方完全ガイド

コメント